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CCT 2004 - Case Objectives -

心臓外科を取り巻く環境は大きく揺れ動いています。

医学的にはDrug Elutingステントがいよいよ上陸間近となり、PCIがますます隆盛となる中で大阪夏の陣で徳川勢を迎え撃つ豊臣方のような、あるいは米軍の上陸を控えた昭和20年夏ごろの日本のような緊張感が漂っています。社会的には厚生労働省の100例規制が「数」の議論を活発化させ、情報開示と権利意識の進展によりかつて一部の施設で横行した医療ミスの「ごまかし」や「隠し立て」がもはや効かなくなり、独立行政法人化と包括医療の逐次導入により無駄の多い素人医療が許されなくなるという現実の中に突入しつつあります。これは唐突な出来事ではなく先進国の歴史を見ればうなづける必然的な時代の流れです。スーパーローテートの開始は従来の医局主導型人事に波紋を投げかけると言われています。患者さんは立ち上がり、お役人はますます高飛車となり、医学生や若手医師は目を覚まし、病院は存亡を賭けた闘いのために自立化を図り、、、という感が顕著になって来ました。

こうした新しい局面に従来の学会が十分対応できているかどうか、疑問の声があちこちから上がっています。例数規制では動きの悪さで定評のある日本政府にさえ遅れを取り、さらには例数規制に対する緩和請願という事態は往生際の悪さとして多くの心ある心臓外科医の失笑さえ買いました。会長から若手に至るまで個々の外科医は立派で魅力ある方が多いなかで集合体としての学会の歯切れの悪さはどうしたことかという疑問も多数聞かれました。専門医制度も国際水準からはほど遠く、新しい時代の心臓外科医を育てかつギルドを守るようなものとはほど遠いと、実力派外科医からは失望の声がでています。この春から例数規制はやや緩和されたかのように見えるものの、財政破綻している国家で無駄な医療を許す余裕が年々無くなるなかで、これは一時的な現象でしょう。実際、全体の医療費を引き下げて例数が多い施設を優遇するという方針(医療費の少ない施設が事実上点数減になる)が、さしあたり軽度ながらも実施されたことがこれを裏付けています。

ただでさえ学会が多すぎると言われるこの国で、CCTという新しいパラダイムの「学会」が多数の医師とコメディカルの参加を得て年々隆盛になっている事実は、このCCTが従来の学会にはない、新しい魅力を持っているからではないかと思います。それは権威や因習に囚われ難い、実力ある個性の集まりとぶつかり合いゆえに面白く魅力的なのではないかと思います。こうした集まりが大方の支持を得るということは、従来の日本型ムラ社会的発想が西欧型個人主義的発想へと転換しつつあることと軌を一にしているのではないかとも思います。封建制度に対する自由の勝利と言えば大げさでしょうか。

ともあれ問題山積の心臓外科業界の中で一条の光を投げかけるような、厳しくとも面白く夢のある集まりを目指して今年もCCTをお世話させて戴けることを世話人一同光栄に存じます。肩の凝らない雰囲気の中で皆様の遠慮ない積極的なご参加を期待し、国際都市Kobeにてお待ち申し上げております。

京都大学心臓血管外科 米田正始







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